見ていられなかった
二軒分のお墓参りを終え
早咲きの桜でも見て行こうかと
Gさんが言うので
いつも行く公園に寄った
消防車が公園の入口に
停まっている
公園で何かあったのか?
公園には寄れないかな
と思いながら
ふと公園入口の反対側が
目に入った
黒く焼け焦げた 物が見えた
柱しか残っていない 家が見え
その家の手前の家は屋根が
少し残ってはいるが
崩れ落ちて家の形はない
崩れ落ちたその家の隣の家も
半分以上 黒く焼け焦げている
時間にして
10数秒くらい見ただろうか
でももうそれ以上 見られない
昨日より風は弱かったが
午後になったら
風が強くなったように感じた
Gさんは運転しているから
見えなかったかもしれない
私は一体 何があったのか
と思い
つい 見てしまった
先日も出がけに消防車の
サイレンを聞いた
そして その消防車は偶然にも
私達の外出先の目的地近くにいた
ボヤだったようで
消防車だけが止まっていて
火事らしい雰囲気はなく
胸を撫で下ろした
だが今回は違った
かなりの火事だったようだ
その前の火事が大したことなく
済んでいたから
今回も気楽な気持ちで
どこかなと見たのだ
黒く焼け焦げた柱のみ
火は全てを飲み込んで
何もなくなっていた
見なければ 良かった
それが目に 心に
焼きついて離れない
焼け出された方は
どんな気持ちか
延焼を避けられなかった
方の思いは
気の毒で 居たたまれなくて
もう2度と火事現場に目をやる事も
見ることも出来なかったし
しなかった
怖かった
自分の家が万が一 出火元に
なってしまったら
いったい どうしたらよいのか
駐車場に車を止めて 火事現場を
眺めている方々がいた
よく平気で眺め 見ている事が
できるな
ヒソヒソ 何か話をしているようだ
被災された方の身になったら
興味本意に無碍に眺めるなど
無神経なことは出来ないはずだ
駐車場がいっぱいで
桜の花を
見ることなく帰って来た
ホッとした
桜をのんびり観る
そんな気持ちになれない
自分だって
Gさんだって
粗相はする
以前 お湯を沸かしながら
外の仕事をし始めていたGさん
すぐ戻ってきたから良いけれど
その時 危ないよ
と言いたかったが 黙っていた
多分 危ない事は分かって
いたはずだから
Gさんは先程の様子を
チラッと車から見ただろうか
火事場の悲惨さを
他人事ではないから
何日か経ったら 話して見よう
もちろん 自分も充分 気をつけなくては
何が原因か分からないけれど
気の毒で たまらない
柱しか残っていない 家の姿
本当に見るに忍びない
いたたまれない 気持ちで
いっぱいだ
お読みくださりありがとうございました